Rome was not built in a day/ローマは一日にして成らず
- SATSUKI DESIGN OFFICE
- 2018年6月30日
- 読了時間: 4分
くだもの屋さんのお母さんとの話。
私:
「この前、買いに来た時、スイカくださいって言ったら、このスイカは美味しいかどうかわからんでと、(くだもの屋の)お父さんに言われました(笑)このぶどうは美味しい。間違いない。でも、スイカは知らん!って。
でも、そのスイカ、おいしかったんです。
それと、何だかね、その時の会話がとっても懐かしくて、また今日も、スイカを買いにきました(笑)」とくだもの屋のお母さんに言いました。
くだもの屋のお母さん:
「大手スーパーができてね・・・周りの魚屋や肉屋が消えてしまったけど、私たちはずっとくだもの屋を続けているの。毎朝、果物を仕入れに行くんだけど、良し悪しをじっくり見て、仕入れているのよ。それでもね、うーん、これはもしかしたらおいしくないかもしれないなーなんて思うことがある。でも、商品を揃えないといけないから、買っちゃおうっていうこともあるのよ。ちょうど、そのスイカは、そういうモノだったんだわ。」
私:
「でも、美味しかったのでよかったです。あの時、ぶどうは買えなかったんです。すごく高くて、どうにもならなくて・・・」
くだもの屋のお母さん:
「ぶどうは高いわ。買えないわよね~。あれは、そんな簡単に買えるもんじゃないわ。今日は、さくらんぼが安くて美味しいわよ~♪
あのね私、モノを売るより、こういう会話を楽しみにしているのよ。
若い子が、こういうところに買いに来てくれることって少なくなって・・。
でも、お父さんとの会話をこうやって覚えててくれて、また買いにきてくれる、それが一番楽しくて、幸せだわ~。」
と、
本当に、幸せそうにお話してくれました。
このくだもの屋さん、ブランディング完璧!
パーソナルなブランディングも、店のブランディングも素晴らしいのです。
ブランディングとは、お金をかけてデザインすることではありません。
高級・ゴージャスな看板をつけることでもなく、
店舗の内装を高級にすることでもなく、
ウェブやインスタを”作る”ことでもなく、
物事の本質や神髄を関係者(お客様)と共有し、共感してもらい、そして、ファンになってもらい、ずっと裏切らないことです。
このお店の果物の単価は、それはそれは・・・、けた違いに高い。
だれが買うんやろうかーと思うけど、私が行くと、必ずお客様がいます。
彼らは、お客様とのコミュニケーションを大事にしていて、お客様は果物を買いに来たついでに、ずーーーっとくだもの屋で世間話しているのです。
顧客にとっても、くだもの屋の夫婦にとっても大事なひととき。
跡継ぎはいないかもしれないけれど、変わらない品質を提供し続けてきていて、その期待を裏切らず、ずっと、ニッチな顧客に寄り添い続けてきた。
時代の変化と共に変化しない、「変わらない」という道を選んだのです。
不愛想なお父さんと愛想のいいお母さん。
彼らの目利きは、誰にも負けない。
高く売る以上、スーパーで買う安い果物とは比べ物にならないくらい美味しくないといけない。
それは、ずっと守り続けてきた。
スーパーができて、周りはつぶれたけれど、彼らは、彼らの人柄の良さと目利きの力を生かし、お客様を大事に大事にし続けてきた結果が、今なんだなぁと思います。
そして、私みたいな若い世代もまれかもしれないけど、きっと買いに来ている。
ずーーーーっとそこでおしゃべりしている時間はないけれど、スーパーではできない会話がとても心に沁みて、さらに果物も美味しいから、きっと頻繁には買えないけれど、若者だってリピーターになるだろうなぁと思います。
ブランディングって、こういうことなんです。
継続は力なり。
ずっと、変わらない信念を持ち続け、一貫性を持って、毎日、伝え続ける。
それが積み重なって、誰もが追随できない不動の地位を確立できるのです。
私は、半年~1年でブランドの基礎は構築するけれど、それを継続し続けるのはお客様です。
そして、大事なのは戦略。
きっと、このくだもの屋だって、小売りをしているだけじゃないと思います。
BtoB的なお客様もいるから成り立っているんだと思います。

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