みなさん、こんにちは。 私は2021年春から、京都芸術大学の大学院に行っています。もうすぐ2年目。 1年大学院生をやって、デザイン思考のプロセスを理解したつもりでいるけれど、やっぱり実践するのは難しい。この1年、実践も含めてやってみた結果大事なことは、研ぎ澄まされた「気づける」アンテナを持たないといけないということです。それには、何が必要かというと、体力。デザイン思考って、めっちゃ体力がいることがわかりましたよ!
デザイン思考ってなんだろう?
さて、今日は「デザイン思考」について、お話ししたいと思います。
そもそもデザイン思考ってどんな思考でしょうか。私は、気づきから始まると考えています。”何か”に気が付き、それを観察しつつ調査し、共感できるものやことを見つけ、漠然とした状態から具体化していく。この具体化とは、世の中に対して問いを立てて、答えを導き出せるかや、世の中にとって必要性のある問いなのかを明らかにすること。そして、論理的に導き出した問題に対しての解決策をイラスト化したり、マインドマップやカスタマージャーニーにしたり、見える化していく。他者と共有できる状態(プロトタイプ)にして、テストして、良し悪しをひとつずつ解決して創造すること。このプロセスを、デザイン思考と呼びます。
デザイン思考の始まりは、「気づき」です。
大学院では「洞察」という言葉で学んでいますが、同じ意味合いです。私は「気づき」って言葉のほうがしっくりくるので、この言葉を使って説明します。
気づきとは、例えば、世の中の人って、〇〇に困ってるんだなーと気づき、〇〇があったらいいなぁーと気づくこと。今は、モノやコトが膨大にあるから、ないモノに気づくのは難しいと思います。自分がないと思っていても、それは知らないだけで、実は、すでにあるなんてこと、多々ありますからね。自分が思いつくことなんて、大概すでに誰かが考えていることです。そういう状況の中で「気づく」ためには、どうすればいいのか。
①本を読むこと。
②情報をキャッチできるアンテナを持つこと。
③たくさんの人の意見を聞くこと。
④自分の意見を持つこと。
⑤無意識を意識下におくこと。
この5つが必要だと思います。
①本を読むこと。
もともと本を読むことは好きだったけれど、大学院に行くと課題図書もあるし、たくさんのことを調べないといけないので、いつもの3倍くらい本を読むことに時間を費やしました。今までは自分の興味ある本ばかり手に取っていましたが、大学院に通ってからは、興味のない分野の本も読む必要がありました。とにかく過去も今も未来も知らないと、論じることはできないからです。ちなみに、本だけでなく、論文も読む必要があり、とにかく、読んで、わからないことが出てきたら調べて、そして、理解していくの繰り返しです。「気づく」ためには、知ることが大事です。
②情報をキャッチできるアンテナを持つこと。
これも同じく、気づくためには知ることが大事だからです。どうやって情報をキャッチするかですが、それは新しい情報をよく知っている人と会って話をすることや、ツイッターやインスタなどを見て未来を知ることです。たくさんあるセミナーの中で良さそうなものを選んで参加してみても良いと思います。今はオンラインでたくさんのセミナーが開催されているので、参加も気軽になりました。あまりにも膨大にあって、どれを選んでいいのやらわからないかもしれませんが、それは本を読むことで良いセミナーが見分けられるようになると思います。
③たくさんの人の意見を聞くこと。
私が大学院に行って一番よかったことは、これだなぁーと思っています。グループワークをしている中で、さまざまな分野の人と議論する時間はものすごく尊いです。なんて素晴らしい時間なのだろうと感じます。素晴らしい人たちから、意見を聞くことは本当に有意義で、いつも会話の中に新しい「気づき」があります。さらに良いことは、聞いて終わりではなく、自分ももちろん意見を言いますので、同級生たちが私の意見を受け止め、共感してくれたり、批判してくれたりします。それこそが私の求めていた「議論」です。こういう場所が、大学院以外にもあったらいいなと思いますが、今のところ難しいです。大学院を卒業したら、どこにあるんだろう?いい場所があったら、教えてほしいです。
実際のデザインの現場は、私が何か発言したら、それ以上誰も何も言わないってことがあります。反対に、私が全く何も言えないこともあります。双方が発言したとしても、議論にならない会話もあります。つまり、議論がめんどくさいものとして扱われていたり、どちらかの固定概念で論理的な議論がなされないまま決まったり、最悪のケースは、会議の場で誰も何も話さない・・という、ただただ時間を無駄に使うこともあります。会議では話さないのに、あとでコソコソ話したり、決まってもないのに勝手に実行したり、そんなことが往々にしてあるわけです。私はそんな中では、何にも気づけないなぁと感じてしまいます。
④自分の意見をもつこと。
自分の意見を持とうと思ったら、知識とスキルが必要で、上記で記載した①や②をクリアしていないとできません。また、なぜ自分の意見を持つことが大事かというと、③で記載したたくさんの人の意見を聞いて、議論する必要があるからです。自分の軸を持って、意見を言うことは簡単なようで、実際は難しいです。固定概念や狭い視野で話すのではなく、きっちり根拠を持って、的を得て簡潔に意見を述べないと相手には伝わりません。
気づくためには、それ相応の人と話さないと気付くことができません。その人たちと話すためには、自分自身の意見をしっかり持てるようになっていないと、真の気づきは得られないということです。
⑤無意識を意識下に置くこと。
無意識を意識下に置いたら、それは無意識じゃないって気もしますが。
毎日、無意識にしていることってたくさんあります。たとえばですが、今日家を出るとき、どちらの足から家を出ましたか?今日乗ったエレベーターに乗った時に、閉まるボタンを押した人は、そのボタンどこにありましたか?今日何人の人と、「お疲れ様です」って挨拶しましたか?
日常の中で、無意識にしていることってたくさんあります。それを、意識してするとどうなるかというと「気づき」を得られます。私たちが当たり前としていることの中に、「気づき」は存在しているからです。
私はこの無意識を意識下に置く訓練を、娘との会話の中で行っています。子どもの視点というのは本当に面白く、なぜ?の連続で、こちらは驚くばかりです。娘の「なぜ?」を聞いて「気づき」の訓練をしています。お子さんがいらっしゃる方は、ぜひ、子どものなぜに耳を傾けてみてください。
「気づく」ためには、ここに書いた全ての要素が必要ですし、もっともっと気づくために必要なことはたくさんあると思います。
デザイン思考、「気づき」の次に必要なものとは?
気づきの次は、調査や実験がありますが、今日はその部分の説明は割愛して、最後の創造の話をします。色々と試行錯誤した結果を、アウトプットできなければ、デザイン思考した意味がないと私は思っているからです。「思考」だから考えるだけでいいのかもしれませんが、考えるだけでは何も変わりませんので、デザイン思考したなら、創造、アウトプットしてほしいです。
この創造というのは、言語化してビジュアル化し、モノ(プロダクト)やコト(サービス)にしていくことです。最終的に生み出すこのパートが何よりも難しいのではないかと私は思っています。
どうやって産み出すか?
デザイナーに頼むんです。 ここまでのプロセスも一人でするのではなく、学際的にすればより質の高いものがうまれると思いますし、イメージ化が苦手であれば、デザイナーに任せてもいいと思うのですが、最後のアウトプットは、あなたがデザイナーでなければ、必ずデザイナーに頼むべきです。
今までやったデザイン思考が生きる瞬間
単に、かわいいやつ作ってーと依頼するのではなく、デザイン思考した結果をデザイナーに伝えると、デザイナーはイキイキとデザインできます。なんて素晴らしいクライアントだ!と感じるでしょう。漠然と、かっこいいやつ、かわいいやつ、なんかインパクトあるやつみたいな依頼をするから最終的にうまくいかないのです。うまくいくプロジェクトは、きっちり設計(デザイン)されているゴールが明確なプロジェクトで、且つ、そのプロジェクトにあったデザイナー加わっている場合です。
日本語くらいかけるからライターは必要ないと言って、言葉のデザインを自分でやったり、ちょっとワードプレス触れるからウェブデザイナーはいらないとか言って、コーディングとデザインをごっちゃにして自分でやったりとか、写真くらい撮れるからカメラマンは必要ないとか言って、手持ちのスマホで写真とってアプリで加工したりか、動画も同じく。イラストレーター、フォトショップなどのソフトがちょっと使えるから、「使える」と「デザインできる」を勘違いして自分でやるとか、DYI得意だから、家や家具を自分でつくるとか、デザイン思考を使って考えた人がデザイナーでないのに、デザイン領域に踏み込むのは失敗の元です。
まとめ
デザイン思考とは、気づきで始まり、創造で終わります。そして、この創造は、デザイナーに任せるとデザイン思考で考えた意味が出てくると思います。
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