大学院でMFA(芸術修士)を取得した、その後。
- SATSUKI DESIGN OFFICE
- 2024年2月1日
- 読了時間: 5分
大学院でMFA(芸術修士)を取得後のこと
私は、2021年に京都芸術大学大学院学際デザイン研究領域に入り、2023年にMFA(芸術修士)を取得し卒業しました。その後、2023年からは京都芸術大学大学院芸術研究科の研究員として、継続して遊び心を共有するためのコミュニケーションデザインについて研究しています。
今、研究員として1年が経ちました。
結局、大学院に行ってどうだったのか、大学院でMFA(芸術修士)を取得してどうだったのか、研究員として在籍してどうだったのか。今日は大学院にいったその後についてお話ししたいと思います。
学びなおし、リスキング
私の場合、MFAを取得した、大学院を出た、研究員になったからといって、劇的に人生や仕事が変化することはなかったです。わかりやすい直結した結果というのもありません。(例えば仕事が増えた!給料が上がった!人脈が激増したなどはない。)だけど、他者と共同で研究をすることで、他者を理解しようとし続け、今までの私の経験を超えた学びがそこにはありました。
子どもの頃の私は、主体的に学ぼうとする姿勢がなく、大人になって、こんなにも自分の意思で学びたいと思い、自分にはわからないことがたくさんあると知り、そのわからないことに対してわかりたいと思う前向きな気持ちを持ち続け、そのわかっていく過程を毎日楽しむ。そんなふうに、自分の毎日をわくわく感じられたことが、大学院に行って、MFAを取得して得たことです。
仕事と子育ての毎日だと、経験を重ねていくとベテランになり、なんでも知っていると思うようになります。もちろん、謙虚でいよう、初心を忘れないように!と思っているのですが、それでも、日々起きることは、ほとんどやったことがある活動なので、何をやってもラクに感じます。だから、あえて、自分とは関係のない人、自分とは関係のない領域へ、意識的に自分を持っていくことが大事だとわかりました。
私は学びの中で、偶然集まった人たちと、偶然グループを組むことになり、偶然一緒に研究しました。大学院を卒業した後も、継続してグループで研究を続けています。私が行っていたのは、社会人のための大学院だから、学びなおし(リスキリング‐Reskilling)の中に人とのつながりという要素も多く、研究と同じくらい人との交流がありました。ただ、私みたいに人との交流が苦手な人は、交流する人数は少なくなるでしょう。でも、大勢の人とつながることが大切なのか、深く付き合える人を一人見つけることが大切なのかはその人の価値観によって異なります。私は、どちらかというと後者であり、ひとりでも私の翻訳者(理解者)に出会えたら、それは大変素晴らしいことだなと思っています。
人と交わらないと学べないこと
一人でも学べることはたくさんあります。でも、だれかがいないと学べないこともたくさんあります。例えば、集団の中でルールを作って守ることや、コミュニケーション方法、相手との距離感、思いやる気持ち、一緒に何かを成し遂げる知識や技術、そしてそのコミュニティでの良し悪しの判断など。
社会の一員としてありながらも、自分の個性を養うこと、そのバランスをどのように保つのかを学び、習得することは一人ではできなかったことです。一人ではできない学びを大学院に行ってできたことは、本当に貴重な時間だったと思います。また、芸術修士だから、芸術(絵を描くことを皆連想するかもしれないが)における研究になるのですが、芸術とは何かを改めて考えることになりました。
芸術とは、絵を描くことや音楽を奏でることだけでなく、もっと広義なものを捉える言葉であり、それは、誰かと一緒に作りながら話すこと、そして話しながら作ることである。また、新たな出会いによって可能性を感じる誰かとの出会いの中で、一緒なら学べるという希望を感じ、自分自身が楽しめる場で自分の可能性を鍛えていくことでもある。つまり、より広く「よく生きること」に関わり、生き生きとした活動が芸術と言えるのではないかなと思っています。
生きることは学ぶこと
私の行っていた大学院は、ほぼオンラインで学ぶことができます。研究員としての今も、ほぼオンラインで話し合っています。それはとても便利で素晴らしいことだと感じます。でも、実際に会ったときの嬉しさは格別ですし、直接出会うことで、得られる学びは数倍になります。だから、オンラインで学べることをありがたいと思いつつも、MFAを取得後(卒業後)は、実際にリアルに動いて人と会って話すことや、プロトタイプを実行する際も現場に行って調査をしました。
我々の研究していることが、本当に世の中にとって必要性のある問いなのか、そして、今やっていることが、その問いの答えを導き出せる適切な手法なのか、他者と共有できる状態(プロトタイプ)にして、テストして、良し悪しをひとつずつ解決して、またテストして。そんなことを1年やっていると、知覚の扉が開き、たくさんのものを見て、体験し、楽しみや喜びを得て感覚が研ぎ澄まされます。それは、すなわち、今、ここで、私、生きてるんだ!と思える瞬間の連続で、これが、MFAを取得した、私のその後です。
学び続けることが、今の時代に必要なことだと感じます。

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