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RESERCH

​はっけん、きづき、まなび

研究内容

- 遊びごころを共有するためのコミュニケーションデザイン(共同研究)

日本は経済的に豊かであるにもかかわらず、日本人の幸福度は他国と比べて高くない。一方、遊びごころが人間の心理的・身体的状態に影響することが研究されている。そこで、遊びごころを持つことが幸せにつながるのではないかという仮説を立て、遊びごころと幸福度の関連性を調査した。

Webアンケート調査の結果から、遊びごころ尺度(宮戸、2014)の一つである「物事を楽しもうとする姿勢」と、幸福尺度(前野、2013)の一つである「つながりと感謝を示すありがとう因子」の間に正の相関を見出した(図1)。また、ヒアリング調査から、誰もが遊びごころを持っているものの、両尺度の高い人ほど他者のために遊びごころを発揮する傾向があった。さらに、多くの人が初対面の場で遊びごころを発揮しづらいと考えていた。以上より、遊びごころを他者と共有することが良い人間関係につながり、人々の幸福度が高まるのではないかと考え、初対面の場において遊びごころを共有するコミュニケーション方法としての手みやげを開発することにした。

京都芸術大学大学院

- 遊びごころのある自己表現についての実践的考察(個人研究)※要約

 人は日々様々な自己表現を行っている。感じたり考えたりしたことを言葉や芸術で表現し、他者からの理解や共感を得られるように表現行為を繰り返している。遊びごころは、幼児期から青年期に活発に発揮され、ゲームや音楽や物語を作るなど、直感的にやってみたいことをして楽しんでいる。ところが、成人期になると、ゆとりや親しい人が減少し、感覚的な遊びや遊びの過程そのものを楽しむ機会が少なくなってしまう。

 

そのため、直接会ってのコミュニケーションが減少し、雑談や気軽な相談をする機会も減り、孤独や孤立の不安を感じている人が増加した。このような人との関わりが疎遠化している中で、他者との関係をつなぐために大人の遊びごころが、研究対象として捉えられていることは少ない。

本研究では、遊びごころのある自己表現が、親しい人を見つけるきっかけとなり、よい人間関係につながる可能性を実践しながら考察する。そのために、まず遊びごころを自分自身が状況や物事にワクワクドキドキ感を持って向き合い、他者と心や感性の触れ合いを楽しもうとする姿勢と定義した。実践については、場面を初対面と設定し、単語帳のような名刺を作成し、アサーティブな表現を心がけ、このアイデアが効果的か、そして、この行為によって生み出される人間関係の変化を実践者の視点で考察した。

単語帳のような名刺

検証方法は、実践者と単語帳名刺を受け取った12名の行動や感情を観察し、その後8名からのフィードバック内容を分析し、よい人間関係につながる可能性を整理した。結果、遊びごころのある自己表現を主体的にするという行為は、かかわる対象を無意識に自分の興味関心を基に取捨選択していることがわかった。

これらのことから、遊びごころのある自己表現を行うことによって、対象をとらえる感覚が研ぎ澄まされ、自分自身の遊びごころが育ち、そして、他者の心や感性を感じ取る力が養われることによって、親しい人を見つけるきっかけとなり、よい人間関係につながっていくことが示唆された。

研究関連

私について

プロフィール写真

2021年4月に京都芸術大学大学院芸術環境専攻学際デザイン研究領域(IDS)に入り​ました。2022年より「遊びごころを共有するコミュニケーションデザイン」をチームで研究。遊びごころを他者と共有することが良い人間関係につながり、人々の幸福度が高まるのではないかと考え、初対面の場において遊びごころを共有するコミュニケーション方法としての手みやげを開発することにしました。

​個人としては「遊びごころのある自己表現についての実践的考察」を行い、遊びごころのある自己表現が、親しい人を見つけるきっかけとなり、よい人間関係につながる可能性を実践しながら考察しました。

MFA(芸術修士/美術学修士)を取得し2023年4月からは、引き続き京都芸術大学大学院芸術研究科の研究員として、「つまる想いをあの人に」をコンセプトとした会うためのきっかけを促す遊びごころのあるコミュニケーションデザイン(行為の芸術活動)を企画しています。​その中で、自己表現にもフォーカスし、よい人間関係につながるような表現方法を検討していきます。

さらに、2023年4月からは、東京藝術大学のDiversity on the Arts Project(愛称:DOORプロジェクト)も履修しています。これは、「アート×福祉」をテーマに、「多様な人々が共生できる社会」を支える人材を育成するプロジェクトです。

私は、大学院に入ったタイミングで、乳がんを患い2023年1月まで治療をしていました。その経験から、癌患者としてヘルスケアのためのアート(デザイン)についても研究を開始。当事者ならではの視点で、「多様な人々が共生できる社会」を考えていきます。

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一緒に何か活動してみたい方は、お気軽にお問い合わせください。私も仲間を探しています。

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